2025.12.05

アートのエッセンスで、あなたの微笑む時つくる

アトリエの始まりと、アール・ブリュットとの出会い

「そして、呼吸。」の代表、芹川亜紀子です。2023年にアトリエを立ち上げてから、まもなく2年が経とうとしています。

このアトリエは「アートのエッセンスで、あなたの微笑む時つくる」をテーマに、障がいのある方が絵を描く場「Atelier Edokoro」を運営しています。また、アトリエで生まれる作品やアーティストを社会へ送り出すプロデュース事業も展開しています。

小中学生を対象とした「Atelier ひとふで」も運営しており、学校の授業では味わえない「描くこと」の魅力を、様々な画材を使いながら一緒に探求しています。このアトリエには、一般の学校に通うお子さんはもちろん、発達に特性がある子、学校へ行くことに抵抗を感じている子など、様々な状況の子どもたちを受け入れています。ここでは自分の「好き」を見つけ、それを心から楽しむ場所を目指しています。

アトリエ事業以外にも、作品展示や販売イベントを実施する企画プロデュース事業、アーティストの作品を商品デザインやチラシなどに二次利用するご提案・制作を行うデザイン事業など、幅広く個人から企業様まで、アートで新たな価値を創造することに力を注いでいます。

アール・ブリュットとの運命的な出会い

私がアトリエを立ち上げる前は、13年間、福祉事業所を運営するNPO法人で事務局長として働いていました。子どもたちの成長を見守りながら、そばで支える保護者の方々と様々なお話をする中で、「絵を描くことを、この先もずっと続けられる場所が欲しい」というお声をいただいたことが、アトリエ設立のきっかけでした。

障がいのあるお子さんの場合、一般のお子さんに比べて学校以外での習い事などの学びや活動機会が少ないことがあります。しかし、その分、身近な人との関わりを大切にしていたり、生活の中から「好きなこと」を見つけることがとても得意で、その「好き」は色褪せることなくずっと「好き」でいられることが、とても純粋で素敵だなと感じます。

「描くこと」も同様です。具体的な描き方を学校で学んだから描くというより、そばにいる好きな人(家族や支援者など)といる時間や、好きな場所で手を動かした結果、絵を描くことが日常生活の一部になっていったのではないかと思います。

私が働いていた法人では児童発達支援・放課後等デイサービスを運営していたので、子どもたちが日常の中で見つけた「好き」や、この場所に来た時の「好きなこと」をアートとして表現していく空間で輝く姿を、たくさん目にしてきました。

それを極めていったものが、アール・ブリュットと呼ばれる世界です。ここには評論家がいるわけでもなく、身近にあるシンプルな画材で表現している場合もあります。そこには純粋な気持ちや日々の想い、好きなことが、線や色として描き出されていきます。そのエネルギーに、私はとても魅了されました。

私のアトリエには20歳以上の方が多く所属していますが、それぞれの方が気持ちよく過ごせる空間を作ることをとても大切にしています。作品が生まれる瞬間に立ち会うことができ、色が重なり完成に近づいていくまでを一緒に感じながら過ごせる空間に身を置いていることに、幸せを感じています。

その気持ちや作品の魅力を、より多くの方に伝えること。それが私の使命だと思っています。

子どもたちの成長とアートが持つ力

小学校では図工、中学校・高等学校では美術の授業で、絵を描くことや創ること、美術における歴史や技法を学んでいきます。特別支援学校に通っている知的障がいや発達に特性ある子どもたちの場合、先生方の工夫により受け取りやすい形に変化させて体験をしていますが、全ての教育課程が授業に組み込むことが難しい場合もきっとあるかと思います。

私のアトリエでは、まず「知る」という時間を大切にしています。様々な画材や描き方があることを実際にトライしながら、新たな「好き」を見つけ、その時間を深めるような環境を提供しています。子どもの頃から探求し、自ら好きなことへと変化させる術を身につけてほしいと願っています。

これからの展望

現在、年3~4回、愛知・岐阜県内にて展示及び販売を行っていますが、今後は大阪・東京へと展示の場所や回数を増やし、同時にファンを増やしていきたいと考えています。

アトリエに通っている所属作家だけでなく、各地域で絵を描いている障がいのある方にも出会い、その方のやりたいことを実現できる仕組みづくりを構築していけたらと思います。その中で、アートという専門職として企業へ障がい者雇用される形も模索しています。

まずは作品の魅力を伝えることに注力し、その魅力を企業のサービスや商品の付加価値として活用したいと言っていただける企業と協働していきたいと考えています。

読者の皆さんへのメッセージ

これからより多様性が求められる時代に入っていく中で、障がいのある人たちが制作する作品が社会と繋がりを持つきっかけとなり、作品を目にすることが人々の日常に溶け込んでいる未来を創りたいと思っています。

「選択肢」とは、選び決めることと、受け入れることが同時に行われている状況を指します。そのことが身の回りでたくさん生まれるということは、自分らしさを引き出し、他者の自分らしさも受け入れられる、皆にとって心地よい空間と環境が広がっていくのではないでしょうか。

ぜひ一度、彼らの作品を見に来てください。そして、その時感じた感情に耳を傾けてください。

サルーテとの関わり

代表の嶋内さんとは、ご縁を頂いてから10年ほどになります。初めてお会いした時から、障がいのある人が描く作品に心を動かされている印象でした。

サロンを開くお話を伺った際、身体の健康には心や精神の健康も必要だという考えをお持ちだと知りました。昨年から「そして、呼吸。」が提供するアートレンタル「Koibumi」をご利用いただいております。年4回、様々な印象の作品をお持ちして、サルーテサロンにいらっしゃるお客様に向けて、居心地の良い環境を一緒に作っていけたと思っています。