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2025.09.06
「正直さと継続」が生む心の豊かさ

カーショップ グローリー代表取締役・小塚洋範さんインタビュー|生きていく上でのヒントを探る
「無理をしないで続けられる。それが一番大切なことだと思うんです」
愛知県一宮市で中古車販売店「カーショップ グローリー」を経営する小塚洋範さん。高級輸入車を中心とした事業を展開しながら、YouTubeでの情報発信も積極的に行う経営者です。今回は、サルーテの理念であるウェルネス・ウェルビーイングの観点から、小塚さんの心の健康に対する考え方や人生哲学について深くお話を伺いました。ビジネスの現場で培った経験から生まれる、現代を生きる私たちへのメッセージをお届けします。

「正直さ」が信頼関係を築く基盤
「お客さんには最初にデメリットも含めて正直にお話しするんです」と語る小塚さん。これは単なるビジネス手法ではなく、人との関係性における根本的な考え方を表しています。
印象深いのは、かつてペットの豆柴を飼う際にブリーダーを探していた時のエピソードです。全国のブリーダーに電話をかけ、「室内で飼うので5キロぐらいで収まる子がいい」と相談した時のこと。多くのブリーダーが「小さくて可愛い子ですよ」と良い面ばかりを強調する中、福岡のあるブリーダーだけは違いました。
「すみません、うちの子は体重制限もしていないので、下手すると7〜8キロになってしまうかもしれません」
この一言で、小塚さんはそのブリーダーを信頼し、そこから犬を譲り受けることを決めました。「電話だけでしたが、声で分かるんですよね。自信があるということが」
この体験は、ビジネスにも人生にも通じる重要な学びとなりました。短所も含めて正直に伝えることで、真の信頼関係が生まれる。完璧を装うのではなく、ありのままを受け入れてもらうことの大切さを物語っています。

車の販売においても同様です。「車種ごとの故障やクレームも、うちは全部毎年公開するんですよ。隠さずに」。事実を伝えた上で、どう対処するかが重要だと考えています。

「続けられること」を最優先に
心の健康を保つ秘訣について尋ねると、「完璧を目指さない」ことの重要性を強調されました。
「7割、8割できていれば十分。無理をしないで続けられることが一番大切なんです」
これは事業運営においても貫かれている哲学です。高級車を扱う業界では、どうしても見栄や見た目が重視されがちですが、小塚さんは「実用性」と「継続性」を重視します。
「僕自身は普通のアルファードに乗っているだけです」と笑いながら話す小塚さん。お客様には特別な体験を提供しながらも、自分自身は身の丈に合った選択をする。この等身大の姿勢が、多くの顧客から支持される理由の一つかもしれません。

時代の変化を柔軟に受け入れる心構え
コロナ禍で大きく変わった消費者行動について語る中で、小塚さんの適応力の高さが垣間見えました。
「実際に見ずに買う人って、本当に多くなりましたよね。ネットが主流になって、こんな仕様があってというので、もう半々ですね」
変化を嘆くのではなく、新しい時代に合わせてYouTubeでの情報発信を始めるなど、柔軟にビジネススタイルを変化させています。しかし、その根底には「お客さんに満足してもらう」という変わらない想いがあります。
「ツールは変わっても、本質は変わらない。お客さんが求めているものをしっかりと提供することが大切です」
「無理をしない」働き方の実践
従業員の働き方についても、小塚さんの考え方は明確です。
「整備業界の平均年収は480〜490万円しかない業界なんですよ。でも、うちでは単価を高くして、働く時間を少なくする。付加価値のある企業を作ることが大切だと思っています」
これは単なる労働条件の改善ではなく、持続可能な働き方への深い洞察から生まれた方針です。「中小企業は、国の政策に耐えられる付加価値のある企業を作らないといけない」という危機感もありながら、同時に従業員一人ひとりの幸福も考えた結果の判断です。
現実的な目標設定の重要性
事業拡大について聞くと、小塚さんは現実的な視点を示しました。
「2000〜3000億円をやるって、多分僕のキャパでは無理。でも100億円なら、現実的な数字だから目標として大切。見える範囲内でないと、モチベーションを保てませんから」
無謀な夢を追うのではなく、自分の能力と環境を冷静に分析した上での目標設定。これも心の健康を保つための重要な要素です。

真の価値を見極める力
YouTubeでの情報発信について語る中で、小塚さんの価値観が明確に現れました。
「無難な路線に走ってしまうと、結局は差別化できない。でも、ダークな部分を正直に出すと、めちゃくちゃ反響があったりする」
表面的な情報ではなく、本質的な価値を提供することの大切さを実感されています。これは、現代社会において私たちが情報を選択する際の重要な指針でもあります。
心豊かな人生のためのメッセージ
インタビューの最後に、読者へのメッセージをお願いしました。
「車を見に来るだけでも全然いいですよ。息抜きができたり、嫌なことがあった時の気分転換になったりすれば。目標にして仕事を頑張るきっかけになれば、それだけでも意味があると思います」
モノを売ることが目的ではなく、お客様の心の豊かさに貢献したいという想いが込められた言葉です。
ウェルビーイングな生き方のヒント
小塚さんとの対話を通して見えてきたのは、心の健康を保つためのシンプルだけれど深い原則でした。
- 正直であること:短所も含めて誠実に向き合う
- 完璧を求めすぎないこと:7〜8割で十分、継続することが大切
- 現実的な目標を持つこと:見える範囲での挑戦を重ねる
- 変化を受け入れること:時代に合わせて柔軟に対応する
- 本質を見極めること:表面的ではなく、真の価値を提供する
これらは、ビジネスの現場で培われた知恵ですが、私たちの日常生活にも大いに活かせる考え方です。完璧を目指さず、正直に、そして継続可能なペースで歩んでいく。そんな等身大の生き方が、結果的に心の豊かさと持続的な成功をもたらすのかもしれません。
実際に小塚さんも、岐阜県羽島市で新しい事業をスタートされる予定です。スーパーカーの委託販売を専門とした屋内展示場で、ランボルギーニやフェラーリなど最大約20台を収容。完全予約制で高額車両を雨や直射日光から守りながら展示するという、オーナーの立場に立った発想から生まれたサービスです。

「月額委託料は無料で、薄利設定で確実に売り切る」という方針は、まさに「お客様ファースト」の考え方の現れ。短期的な利益よりも、長期的な信頼関係を重視する小塚さんらしい事業展開と言えるでしょう。「見える範囲での現実的な目標」を実践しながら、着実に事業の幅を広げていく姿勢は、私たちが人生の様々な場面で参考にできる生き方のヒントに満ちています。
小塚洋範(こづか・ひろのり)
カーショップ グローリー代表取締役。愛知県一宮市で高級輸入車を中心とした中古車販売業を展開。YouTubeでの情報発信にも積極的に取り組み、業界の透明性向上に貢献している。「正直さと継続」をモットーに、お客様との長期的な信頼関係構築を重視した経営を行う。

店舗情報
カーショップグローリー
- 所在地:〒491-0923 愛知県一宮市大和町南高井字袋田3番
- 営業時間:10:00-18:00
- 定休日:毎週火曜日