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2025.12.04

遊び方が分からない親子が急増中?自然の中で子どもと親が育つ場所|NPO法人おさんぽや

「お散歩屋って何やってんの?」とよく聞かれるという、NPO法人おさんぽや。代表理事の安藤晴美さんに話を伺うと、そこには子育てに悩むすべての親子への温かいメッセージがありました。

自然の中で子どもも親もありのままでいられる場所。学校でも家でも習い事でもない、第3の居場所。一宮市から始まった、新しい子育て支援の形をご紹介します。

NPO法人おさんぽやとは?

NPO法人おさんぽやは、子育て支援を行う団体として、市民団体から始まり7年前に法人化しました。活動の柱は大きく3つあります。

3つの事業内容

  1. お散歩会事業 – 子どもたちと公園をお散歩する活動
  2. 居場所づくり事業 – 安心・安全な居場所を提供
  3. 街づくり事業 – 子育てがしやすい街を作る取り組み

自然豊かな王野楽寺公園での活動

活動の舞台となるのは、一宮市にある大野極楽寺公園。138タワーパークの隣に位置し、野球場やバーベキュー場がある自然豊かな公園です。遊具はあまりありませんが、その代わりに自然がたっぷり。

「今日も火起こしをやってカレーを作りました」と安藤さん。この暑い中でも、子どもたちは興味津々で親子一緒に枝を拾って火を起こす体験をしているそうです。

多目的広場
https://www.ohnogokurakujikouen.jp/ground.html

四季を通じた自然体験

  • :桜を見る
  • :水遊び
  • :紅葉を楽しむ
  • :雪遊び

そして季節ごとに変化する生き物たち。「豆粒みたいにちっちゃい赤ちゃんバッタが、夏に向かって手のひらサイズまで大きくなる姿を子どもたちは見ているんです」

「遊び方が分からない」問題

一宮市は自然が多い地域ですが、実は「遊び方が分からない」という親子が増えているといいます。

自然に触れさせたいし、公園にも行くけれど、どうやって遊んでいいか分からなくてすぐ帰ってしまう。そんな声をよく聞くそうです。

昔は子供会のキャンプや川遊び、バーベキューなど自然体験の機会がありましたが、今の子どもたちの世代、特にコロナ禍を経験した世代はそういった体験が減ってしまいました。

おさんぽやの具体的な活動

親子お散歩会

親子で一緒にお散歩をしながら、自然の中で心を解放できる場所。我が子もよその子も見合いながら、親同士の交流の場にもなっています。

森の幼稚園

2歳から6歳のお子様を4時間お預かりし、保育士とともに森の幼稚園のようにダイナミックに遊びます。

特徴的なのは、「何もしなくてもオッケー」という方針。

「したくない時は本当にコロンと転がって青空を見ててもいい。何かをする自由と、何もしなくてもいい自由、両方を保証しています」

坂があれば滑り台にもなるし、秘密基地にもなる。子どもたちの想像力は止まらないといいます。

幼稚園や保育園に通いながら、週に1回こちらに通うというダブルスクールの形で利用されている方も多いそうです。

小学生以上の居場所づくり

活動を始めて今年で10年。2歳だった子どもたちが今では12歳に。

学校に馴染めなかったり、年代特有の悩みを抱えた時、「おさんぽや」に帰ってきて話を聞いてもらえる場所として機能しています。

  • 子ども食堂
  • 子どもの居場所づくりイベント
  • お母さんのカフェタイム

学校とも家庭とも習い事とも違う、第3の居場所=サードプレイスとして安全地帯を提供しています。

専門性の高いスタッフ陣

代表の安藤さん自身が保育士であり、他にも管理栄養士、助産師、看護師など、子育てに関するプロフェッショナルが集まっています。先輩ママたちの失敗談や経験談を聞けることで、多くのお母さんたちがホッとするそうです。

子育てしやすい街づくり

行政や企業、大学からの依頼を受けて、中学校での職業講話や大学での講座も実施。また、一宮市内には子育て支援の市民団体が数多く存在しており、そういった団体同士の繋がりづくりも行っています。

コロナ禍で孤立状態になった時も、団体同士で支え合う仕組みを作ってきました。

代表・安藤さんの想い

安藤さん自身、3人の子育てに苦労した経験があります。

「ダメなことばっかりやってきた母親だった」と振り返る安藤さん。やんちゃな息子を目の前にワンワン泣いていた時、他の街の森の幼稚園に通いながら、自然に癒され、先輩お母さんたちに「大丈夫だよ、なるから大丈夫だよ」と支えられた経験が、今の活動の原点になっています。

大切にしていること

「子どもってそのままじゃないですか?嫌だったら嫌だし、嬉しかったら飛び上がるぐらい嬉しい。大人になるとだんだん取り繕ってしまう」

子どもも大人もありのままでいられる場所。それがおさんぽやが目指す場所です。

  • 安心・安全な場所でないと、自分を出せない
  • 「私は私だけど、あなたもあなた」とお互い尊重できる
  • スタッフも参加者も子どもも大人も、「あなたはそのままでいいよ」と言ってあげられる

そんな場所づくりを大切にしています。

将来の夢はスウェーデンのサマーハウス構想

安藤さんには大きな夢があります。それは、スウェーデンのサマーハウスのような施設を一宮に作ること。

実際にスウェーデンを訪れ、環境大国としての姿勢や多様性を大切にする文化を肌で感じてきた安藤さん。「雑草にも権利がある」という考え方のもと、草を抜いていいかどうかをみんなで議論するような丁寧さに感銘を受けたといいます。

家族で自然の中で過ごすホリデーを通じて、家族の絆がさらに深まり、日本に帰ってからも自然との触れ合いが続いていく。そんな仕組みを作りたいと語ります。

少子化対策にもつながる大切な事業

子育て支援が充実することは、少子化対策にもつながります。そして何より、のびのびとした良い人材が育っていくことにもつながります。

「子育てって、子どもも育ちますけど、親もやっぱり育つんじゃないかな」という安藤さんの言葉が印象的でした。

子育ては長いようで、20年はあっという間。夫婦だけだったところに子どもができて家族が育っていく時間は、後から振り返ると幸せな時間だったと思えるもの。

そんな時間を、自然の中で、仲間とともに、ありのままに過ごせる場所がある。それが「おさんぽや」です。

参加方法

おさんぽ会に参加してみたい方は、Instagramで「おさんぽ屋」と検索してDMからメールを送ってください。

団体情報

  • 団体名:NPO法人おさんぽや(おさんぽやふぅのみ)
  • 代表理事:安藤晴美
  • 活動場所
    • 王野楽寺公園(一宮市小信中島字郷南3147-1)
    • つどいの場「まんまるぽんぽ」母屋「愛の」(一宮市篭屋1-10-29)

編集後記

今回のインタビューを通じて、「遊び方が分からない」という現代の親子の課題が浮き彫りになりました。同時に、自然の中でありのままでいられる場所の大切さを改めて感じました。

子どもにとっても親にとっても、何かを強制されるのではなく、「そのままでいい」と言ってもらえる場所があることの意味は大きいはずです。

一宮市から始まったこの取り組みが、全国に広がっていくことを願っています。

この記事は、サルーテラジオ第28回のインタビューをもとに作成しました。

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