2026.03.21

LUFT 代表・田畑さんインタビュー|生きていく上でのヒントを探る

「主役は使う人であって、家具はあくまで脇役。生活の中に溶け込んで、道具としての機能をちゃんと果たしてほしい」

愛知県一宮市を拠点に、オーダーメイド家具とインテリアコーディネートを手がける「LUFT(ルフト)」。洋服のオートクチュールのように、一人ひとりの暮らしに合わせた家具を仕立てるというコンセプトのもと、既製品では叶えられなかった「理想の空間」を届け続けています。代表の田畑さんに、ものづくりへの想いや豊かな暮らしについての哲学をお伺いしました。

サルーテとの接点ー

LUFTさんにはサルーテサロンの空間も手がけていただきました。

「もう少しなんとかできないか」——既製品の限界が、独立の原点に

LUFTのコンセプトは「仕立てる家具店」。洋服のオートクチュールになぞらえたこの言葉には、田畑さんがこれまでの仕事の中で感じてきたもどかしさと、それを乗り越えたいという強い意志が込められています。

前職で既製品の家具販売に携わっていた頃、田畑さんはある葛藤を抱えていました。お客様一人ひとりに合わせた提案をしようとしても、どうしても限界がある。「もうちょっと大きければ、この無駄なスペースがなくなるのに」「色のバリエーションはあるけど、もう少しこういう色で作れたらインテリアにより合うのに」——そういったお客様の声が、田畑さんの中に積み重なっていきました。

「自分でお店を作るなら、そういうところを解決できる場所にしたいと思って。オーダーメイド専門のインテリアショップとして、LUFTを立ち上げました」

既製品に妥協するのではなく、お客様の暮らしに合わせてゼロから作る。その選択は、単なるビジネスモデルの違いではなく、「家具とはどうあるべきか」という田畑さん自身の信念から生まれたものでした。

いくつもの家具屋を回って、たどり着く場所

LUFTに足を運ぶお客様には、ある共通点があると田畑さんは言います。

「色々な家具屋さんを回ってきたけど、自分たちの思い描くベストなものが見つけられなかった方が多い。世の中にあるものを探しているけど、もう少し自分たちのライフスタイルに合ったものを作れないかと検索して、最後にたどり着いてくれる——そういうお店になっています」

オーダーメイドゆえに、お客様が実物を見て「これをください」と言える場面はほとんどありません。だからこそ、田畑さんが最も大切にしているのが「ヒアリング」です。家族構成、ペットの有無、持っている家電の色や種類、生活動線——細かければ細かいほど、より暮らしに寄り添った提案ができる。

「実物がない分、お客様がイメージしやすいようなプランニングボードや素材サンプルを細かく用意して、安心して購入いただけるよう気をつけています」

さらに、家具の据え付け当日には職人が現場で微調整を行います。どんな家でも、壁は完全な直角ではないし、床の高さもミリ単位で微妙に異なる。そのわずかな歪みにも丁寧に対応することが、「仕立てる」という言葉の真意を体現しています。

家具は作品ではなく、道具である

田畑さんの言葉の中で、特に印象的だったのがこの一節でした。

「自分たちが作った家具を、あまり『作品』として扱ってほしくないと思っているんです。あくまで道具であって、普段の生活の中に溶け込んで、道具としての機能をちゃんと果たして、お客様のライフスタイルが豊かになればいい」

こだわり抜いたデザインを「見てください」と前に出すのではなく、使う人の生活の中でさりげなく機能する。主役はあくまでそこで暮らす人であって、家具はその脇役に徹する——。この姿勢は、LUFTの家具が「主張しすぎない」と感じさせる理由でもあります。

豊かな暮らしとは何か、という問いに対して、田畑さんは「人それぞれ」と答えます。押しつけがましくなく、その人のライフスタイルが自然と豊かになっていく。そういう家具と空間を作ることが、田畑さんの目指すところです。

ホテルを「教室」に——日常の中で勉強し続ける

インテリアへの感度を保ち続けるために、田畑さんが意識して足を運ぶ場所があります。それが、ホテルです。

「一番勉強になるのはホテルのインテリア。ああいう空間はほとんどがオーダーメイドで作られていて、細部までこだわって作り込まれている。そういう場所になるべくいろんなところへ行って、勉強するようにしています」

そこで得たインスピレーションをお客様へのご提案に活かしていく。仕事とプライベートの境界線が自然と溶け合うほど、田畑さんの日常はインテリアへの探求心に満ちています。

医療現場へ、そして海外へ——「今まで誰も気にしなかった場所」を変えたい

田畑さんが次に目を向けているのは、これまでデザインの手が届いていなかった領域です。

その一つが、医療施設向けの家具ブランド「MEDITERIOR(メディテリア)」の立ち上げ。病院やクリニックといった空間は、機能性が優先されるあまり、インテリアの視点が後回しにされてきた世界です。「無機質だったようなところが、もう少しその人に安心感を与えるような質感やインテリアになれば」——そんな想いから生まれたブランドです。

「今まで世の中になかったような、『そんな発想があったんだ』という提案をこれからもしていきたい」

海外展開への思いも、田畑さんの中で温め続けているテーマです。オンラインショップを通じて、日本の焼き物や家具を海外のお客様に届けること。日本のものづくりの丁寧さと美意識を、国境を越えて伝えていきたいという夢があります。

さらに、LUFTが手がけるカフェ「THE ROOM CAFE」も、その挑戦のひとつ。食と住をさりげなくリンクさせることで、暮らしの豊かさをより立体的に伝えていきたいという発想から生まれました。「思いついたことはとりあえずやってみる」というスタンスが、LUFTの世界をどんどん広げていきます。

ウェルビーイングな生き方のヒント

田畑さんとの対話から見えてきたのは、暮らしと仕事と人との関わり方に通じる、シンプルだけれど深い考え方でした。

  • 押しつけない:自分のこだわりよりも、相手のライフスタイルを優先する。豊かさの形は人それぞれ。
  • 聴くことを徹底する:表面的なニーズではなく、その奥にある暮らし方や価値観まで丁寧に聴く。
  • 脇役に徹する覚悟を持つ:目立たなくていい。誰かの生活を静かに豊かにすることに、誇りを持つ。
  • 日常の中で学び続ける:ホテルのインテリアも、旅も、食も。あらゆる体験を糧にする。
  • 「まずやってみる」を大切にする:完璧な準備より、思いついたことを形にする行動力が世界を広げる。

「主役は使う人」という言葉は、家具づくりの話にとどまりません。誰かの人生を豊かにするために、自分は何ができるかを問い続ける——そのあり方は、日々の仕事や人間関係においても大切なヒントを与えてくれます。


田畑さん(LUFT代表) 愛知県一宮市を拠点にオーダーメイド家具・インテリアコーディネートを手がける「LUFT」代表。洋服のオートクチュールになぞらえた「仕立てる家具店」というコンセプトのもと、一人ひとりの暮らしに寄り添った空間づくりを提案。医療施設向け家具ブランド「MEDITERIOR」の立ち上げや、カフェ「THE ROOM CAFE」の運営など、インテリアの枠を超えた多彩な挑戦を続けている。

LUFT(株式会社ルフトインテリア)店舗情報

住所:愛知県一宮市大和町馬引字古宮59-4
電話番号:0586-52-7109
定休日:火曜日・水曜日