【エンジョイブックス】舘ひろし主演『免許返納!?』の小説版が想像以上に深かった
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【エンジョイブックス】舘ひろし主演『免許返納!?』の小説版が想像以上に深かった
皆さんこんにちは。サルーテの山本です。
このコーナー「エンジョイブックス」では、一宮市の文正堂書店・平野さんと一緒に、おすすめの本をご紹介していきます。
今回取り上げるのは、舘ひろしさん主演の映画『免許返納!?』の小説版。コメディ作品のノベライズかと思いきや、読んでみると想像以上に深い一冊でした。
酷暑の夏、書店の前を通る人たち
収録したのは7月末。少し前まで40度に届こうかという日が続き、連日「酷暑日」というワードを耳にする夏でした。
平野さんに、この暑さをどう過ごしているか伺ってみました。
ちょうど酷暑日が続いた時期は、一宮の七夕まつりの真っ最中だったそうです。店内にいる平野さんはまだいいものの、お祭りに出演される方々が着替えのためにスポーツ文化センターへ移動する際、店の前を通っていくのだとか。
40度の中、すごい衣装で移動していく皆さんの姿を見て、「お祭りの時期を6月あたりに変えた方がいいのでは」と思うほどだったそうです。
暑いと外に出られない。エアコンなしでは生活できない。そんな夏だからこそ、今回は気軽に読める一冊を選んでいただきました。
選書の理由|暑い夏に、ライトに読める一冊

今回選ばれたのは、撮影スタッフからのおすすめでもあったという『免許返納!?』の小説版です。
暑くて読書という気分になれない時期でも、ライトに読めるもの。そんな観点で選ばれました。
映画のノベライズなので書き下ろし作品です。脚本を手がけた方とは別に、小説版を書き下ろしたのが橘ももさんという作家さんです。
著者・橘ももさんについて
橘ももさんは1984年、愛知県生まれ。舘ひろしさんも愛知県のご出身なので、そこにも縁を感じます。
2000年、『翼をください』で第7回講談社X文庫ティーンズハート大賞の佳作を受賞してデビュー。ティーン向けの小説を多く手がけられました。
その後、ダ・ヴィンチ編集部に編集者として勤務。現在は「立花もも」名義でライター・書評家としても活躍されています。小説は「橘もも」、ライター業は「立花もも」と、名義を使い分けているんですね。
オリジナル作品はもちろん、数多くの映像作品のノベライズも手がけられています。『透明なゆりかご』『小説 空挺ドラゴンズ』などが代表的なところです。
編集者を経て小説家になった方は多いんだなと、平野さんもお話されていました。

『免許返納!?』のあらすじ
主人公は、大御所俳優の南条弘。アクションスターとして名を馳せ、70歳を目前にして芸術映画への出演をきっかけにイメージチェンジにも成功しました。
傍から見れば順風満帆な俳優人生です。
ところが、昔からのライバル俳優・尾崎が起こしたバイク事故へのコメントが世間から賞賛を浴び、それがどう転じてか免許返納宣言をすることに。
しかし南条本人は、愛車のフェラーリに深い愛着があり、返納する気などまったくありません。愛車への思い、アクション映画へのこだわり、家族への思い、そして世間の声。その狭間で葛藤する日々が始まります。
そんな中、事故を起こした尾崎が余命いくばくもないと判明。疎遠になっている一人息子に会いたいという尾崎の願いを叶えるため、南条はマネージャーの川奈を運転手として巻き込み、愛車で福島への旅に出ることになります。
誰もがいつかは向き合うことになる「免許返納」というテーマを扱った、ロードムービー的なコメディ作品です。

32年越しの続編という仕掛け
この作品には、面白い背景があります。
2026年6月に公開された実写映画『免許返納!?』は、1994年に舘ひろしさんが主演した『免許がない!』の、いわば続編にあたる作品なのです。
『免許がない!』で描かれたのは、免許を取るまでの話。それから30年余りを経て、今度は免許を返納する話になる。
深刻になりがちなテーマを、コミカルに描いた作品となっています。
読んでから観るか、観てから読むか
平野さんは先に小説を読み、その結果「映画を観たい」となって劇場に足を運ばれたそうです。
読んでいる最中も舘ひろしさんが勝手に脳内に出てくるくらい、かっこいい姿が想像できたとのこと。それでも映像で観ると、やはり違う。とてもダンディで、引き込まれたそうです。
ノベライズ永遠のテーマ
ここで浮かぶのが、「読んでから観るのか、観てから読むのか」という問題です。
原作があって映画化される作品と、映画があって小説化される作品では、また事情が違います。
平野さんの結論としては、映画を観てから読んだ方が良かったかもしれない、とのことでした。
理由は、内容にほぼ差がないにもかかわらず、受ける印象が異なるからです。
小説版は、登場人物の思いや行動、表情までが文章に落とし込まれていて、引き込まれるように読み切れる作品。一方の映画は、舘ひろしさんのかっこよさが全面に出ていて、ストーリーの良さよりも、舘さんとその周りを取り巻く人たちのコメディ感、ドタバタ感を楽しむ作品になっている。
小説ではシリアスに読んでいた部分が、映画ではとてもポップに描かれていたため、少し違和感を覚えたそうです。
とはいえ、小説を読んだからこそ映画を観たいと思ったわけで、結局どちらでもいいのかもしれない、というのが平野さんの見解でした。
免許返納の話ではなく、人と人との物語
僕はまだ映画を観ていないので、小説を読んだ限りの印象になりますが、この作品は免許返納そのものをテーマにしたというより、人と人との繋がりや思いが大きなテーマとして描かれているように感じました。
「そんな方向に行くんだ」という展開もあって、読み進めるうちにどんどん引き込まれていきます。

印象に残った一節
今回、僕が付箋を貼った箇所があります。小説版の72ページです。
作中には「ハーレーライダー」という、南条がかつて出演した架空の映画が登場します。バイクに乗ってショットガンを撃つという、なかなかぶっ飛んだ設定の作品です。
その作品について、南条がどんな思いで作ったのかを語るシーンがあります。
要約すると、こういうことです。ばかばかしいことを全力でやり、ありえない展開の連続で観客を夢中にさせる。ただし、意味の分からないことをすればいいわけではないし、むちゃくちゃで筋の通らないことをすれば面白くなるわけでもない。通すべき筋と美学があって初めて、「意味が分からない」と笑ってもらえるのだ、と。
この言葉は、作品全体を貫くテーマの一つだと思いました。
実際、この物語の中では「ちょっといろんなことが起こりすぎでは」「そんなバカな」という展開が次々と起こります。でも、そのばかばかしいことをやりながらも、しっかりと通すべき筋は通っている。だからこそ、読み終わった後、観終わった後に爽快感が残る。そんな作品になっているのだと感じました。
ノベライズという仕事のすごさ
平野さんが映画を観て良かったのは、やはりハーレーに乗ってショットガンをぶっ放す舘ひろしさんが見られたこと。あぶない刑事のファンとしては、たまらない場面だったそうです。
一方で、小説を読んで感じたのは、橘ももさんの文章力のすごさだといいます。
コメディ映画のノベライズなのに、これほど多くの思いを読者に向けられる。読みながらいろいろなことを考えられる小説に仕上がっている。
「オリジナル作品を作る人の方がすごい」と勝手に思っていた節があったけれど、既にあるものを書き落としていく作業は、実はとても難しいことなのではないか。そう気づかされたそうです。
おそらく、執筆にあたって監督や脚本家から相当な取材をされているのだと思います。「この場面でこの登場人物はこう思っている」といった情報を受け取り、それを解釈して文章に落とし込んでいく。その解釈が素晴らしいという印象を受けました。
200ページ台で読み切れる手軽さ
この本は200ページ台の分量なので、普段あまり読書をしないという方でも気楽に手に取れる一冊です。
映画を観るのとほとんど変わらない時間で読み切れるので、映画館に行けないという方はこちらから入るのもいいと思います。
この記事が公開される頃には劇場での上映が終わっているかもしれませんが、動画配信サービスで観られるようになる可能性もあります。映像としても楽しめる作品です。
バイクの話で盛り上がる
作中でノーヘルでハーレーに乗る場面があることから、話はバイクの方へ。
平野さんは中型免許をお持ちだそうですが、実際に乗るのはやめてしまったとのこと。「乗れたらかっこいいな」と思って取得したものの、大変さを感じたそうです。
僕もバイクは持っていて、たまに乗る程度。今は暑すぎますが、秋のいい季節が来たらまた乗りたいなと思っています。
暑い夏に、爽快になれる一冊。そんな作品でした。
まとめ

『免許返納!?』の小説版をご紹介しました。
コメディ作品のノベライズでありながら、人と人との繋がりや思いが深く描かれた一冊です。ばかばかしい展開の中にも、しっかりと筋が通っている。読み終わった後に爽快感が残ります。
映画を観た方も、これから観る方も、そして映画館に行けない方も。ぜひ手に取ってみてください。
これからもエンジョイブックスでは、旬の本や面白い本、おすすめしたい本を中心にご紹介していきますので、チャンネル登録、高評価、感想のコメントなどもよろしくお願いいたします。
それではバイバイ。
『免許返納!?』書籍情報
タイトル:免許返納!?
著者:橘 もも
出版社:講談社(講談社文庫)
ISBN:978-4-06-543188-7
形式:文庫書き下ろし
内容:2026年6月19日公開の映画『免許返納!?』の小説版
映画情報:
- 監督:河合勇人
- 脚本:林民夫
- 出演:舘ひろし、西野七瀬、黒川想矢、南野陽子、八嶋智人、大地真央、MEGUMI、真矢ミキ、吉田鋼太郎、宇崎竜童
- 主題歌:THE ALFEE「Crossroad -愛の免許返納-」
- 1994年公開『免許がない!』(脚本・森田芳光)の主人公・南条弘を主役に据えた作品
文正堂書店 店舗情報
エンジョイブックスにご協力いただいている、一宮市の文正堂書店さんの情報です。
店名:文正堂書店(ぶんしょうどうしょてん)
本店所在地:〒491-0043 愛知県一宮市真清田1-1-4
電話番号:0586-72-2605
FAX:0586-73-1625
営業時間:
- 月〜土曜日:9:00〜20:00
- 祝日:10:00〜19:00
定休日:日曜日
アクセス:尾張一宮駅東口から徒歩約7分/真清田神社のすぐそば
店舗:真清田の本店、昭和の昭和店の2店舗を営業
サービス・特徴:
- 一宮市内の雑誌配達サービス承ります
- 小学・中学・高校の教科書取扱店
- ゴールデンチャート取扱店
- 本のことならお気軽にご相談ください
公式サイト:https://www.bunshodo.net/
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文正堂書店・平野さんより
舘ひろし主演映画のノベライズ。ばかばかしい展開の中にも通すべき筋が通っていて、読み終わった後に爽快感が残ります。200ページ台で気軽に読み切れる一冊。